マイナンバーの管理には、厳しい罰則も設けられています。このため企業には、これまで以上にセキュリティの強化が求められています。最終回では、マイナンバー制度に対応するうえで不可欠な情報セキュリティ対策について説明します。
今すぐ情報セキュリティ対策の確認と強化を
前回説明したように、マイナンバーには厳格な管理が求められます。しかし、だからといって、収集したマイナンバーを紙にメモして、金庫にしまっておいても意味はありません。第1回で説明したように、源泉徴収票や雇用保険、年金などの書類には、マイナンバーの記載が必要になるからです。
通常、こうした書類はパソコンで作成・管理しますから、マイナンバーもパソコンに取り込んで利用せざるをえません。もしも、パソコンに保存したマイナンバーが漏洩してしまったら、企業は大きな責任を問われることになります。
したがって、すべての企業は、改めて情報セキュリティ対策を確認した方がよいでしょう。特に、これまで5000件を超える個人情報を持っていなかった企業は、念には念を入れた方がよいと思います。わずか数件であっても、マイナンバーを含む氏名、生年月日などの情報が漏洩したら、大きな問題になりかねないからです。
※以上、マイナンバーについて、最低限知っておきたいことをご紹介しました。最後に、記事を書く際に参考にしたWebサイトを記しておきますので、さらに詳細に調べるときの参考にしてください。
中小企業は基本対策をしっかり固めて、UTMなどによる+αの対策がおすすめ
といっても、何か特別な対策が必要なわけではありません。最も基本になるのは、従来から言われている次の2つです。
- WindowsなどのOS、アプリケーションを最新の状態に保つ。
- ウイルス対策ソフトを導入し、ウイルス定義ファイルを最新に保つ。
社内にあるすべてのパソコンで、この2つを徹底することが最も基本です。そのうえで、情報漏洩対策を追加するとよいと思います。たとえば、自社ネットワークとインターネットのあいだに「UTM」というハードウェアを設置するのも有効です。
UTMは「Unified Threat Management」の略で、複数のセキュリティ機能、たとえばファイアウォール、Webフィルタリング、IDS/IPS(注)などの機能を1つのハードウェアにまとめた製品のことです。複数の機能が1つにまとまっていて、設置するだけでセキュリティを強化できるので、専任のIT管理者のいない中小企業には、特におすすめです。
注:IDSは「Intrusion Detection System」のことで、不正アクセスなどの侵入を検知するシステムです。IPSは「Intrusion Prevention System」のことで、侵入を防止するシステムのことです。
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マイナンバー収集・管理のアウトソースなど、さまざまなサービスも利用可能
正直なところ、現行のマイナンバー制度は、中小企業にとっては負担の方が大きく、あまりメリットはないように感じます。ただ、運用が始まる以上、しっかりと対応せざるをえません。
こうした中、IT企業はさまざまなマイナンバー関連のサービスを開発・提供しています。たとえば、中小企業向けの会計ソフトで知られているミロク情報サービスは、マイナンバーの収集・管理をアウトソースするサービスを提供しています。従業員や取引先の個人番号を収集し、クラウド上で厳重に管理してくれるので、面倒な作業をほぼ完全にアウトソースできます。他にも、さまざまな企業が同様のサービスを提供していますので、マイナンバー関連の業務を少しでも省力化したい場合は、ネットで調べてみてください。
<関連サイト>
事業者向けの情報(政府広報オンライン)
http://www.gov-online.go.jp/tokusyu/mynumber/corp/
マイナンバー対策準備室
http://mynumber.acube-ac.com/labo.html
特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(特定個人情報保護委員会)
http://www.ppc.go.jp/legal/policy/
マイナンバー管理システム(ミロク情報サービス)
https://www.mjs.co.jp/ads/my_number_step/step1/tabid/980/index.php
セコムあんしんマイナンバーサービス(セコム)
http://www.secomtrust.net/service/mynumber/