マイクロソフトは、iPhone/iPad版のOfficeをリリースしました。iPhone/iPadを活用している企業には、その実用性が気になるところでしょう。そこで第一回では、利用できるアプリ、iPhoneとiPadでの違い、ビジネスで使ううえでの注意点について整理したいと思います。
Word/Excel/PowerPointの3つが利用可能できてiPhoneとiPadの両方に対応
2014年11月、マイクロソフトはiPhone/iPad版のOfficeをリリースしました。利用できるアプリはWord、Excel、PowerPointで、他のiOS用アプリと同様、AppStoreから無料でダウンロードできます。
いずれも、1つのプログラムでiPhone/iPadの両方に対応しています。ただし、iPhoneとiPadでは画面サイズが異なるため、機能・操作性は異なります。画面が大きいため、実質的には、iPadでの利用を前提にした方がいいでしょう。iPhoneでも使えますが、あくまで内容確認用と割り切った方が現実的だと思います。
Microsoftアカウントは必須! すべての機能+商用利用にはOffice 365の契約が必要
iPhone/iPad版Officeは無料で利用できますが、文書やワークシートを編集したり、OneDriveを利用したりするためにはMicrosoftアカウントが必要です。
また、一部の機能はOffice 365の契約が必要です。Office 365の契約がない状態で一部の機能を利用すると、次のようなメッセージ表示されます。
さらに、商用利用する場合、たとえば、仕事で使う報告書、見積書、提案資料などを表示・作成する場合も、Office 365の契約が必要になります(無料で利用できるのは、あくまで個人利用のみ)。
このため、iPhone/iPad版Officeを仕事で使うなら、Office 365の契約は必須ということになります。なお、Office 365の契約のことを「Office 365のサブスクリプション」と表現する場合もあります。
Office 365を契約するには
Office 365を契約する方法は、個人と法人で異なります。個人で契約するなら、「Office Premium搭載PC」を購入する方法と「Office 365 Solo」を購入する方法の2つがあります。
「Office Premium搭載PC」は、Officeのプレインストールされたパソコンのことで、次のようなマークが付いています。
「Office Premium搭載PC」には、WordやExcelが最初からインストールされていて、そのパソコンでずっと使い続けることができます。また、新しいOfficeが出たら、無償でバージョンアップすることもできます(ここは、従来とは大きく異なる点です)。
さらに、オマケとして、OneDriveとSkypeの60分の無料通話権が付き、iPhone/iPad版Office、Android版Officeも利用できます。ただし、オマケが利用できるのは1年間だけで、2年目以降も利用するなら、6264円/年間を支払う必要があります。
「Office 365 Solo」は、完全に月額制のサービスで、利用料は次のとおりです。
- 1,274円(1ヶ月払い)
- 12,744円(1年払い)
WordやExcelなどのアプリケーションをクラウドからインストールできて、OneDrive、iPhone/iPad版Office、Android版Officeも利用できます。なお、Officeをインストールできる台数は次のとおりです。
- 2台のパソコン(PCまたはMac)
- 2台のタブレット(iPadまたはAndroid)
- 2台のスマートフォン
法人向けについては専用のページがありますので、そちらを参考にしてください。なお、規模の小さい会社だと、法人であっても「Office Premium搭載PC」や「Office 365 Solo」を検討すると思いますが、法人向けもけっこう低価格なので、同時に検討するとよいと思います。
iPad/iPhone版のOfficeが登場した背景
Windows 10の記事でも説明しましたが、今後、マイクロソフトはWindowsを無償で配り、そこで利用するクラウドサービスで儲けようとしています。Office 365は、その主力商品です。クラウドサービスなので、Windowsだけでなく、iPhone/iPad、Androidなど、いろいろな端末で使えなければなりません。そこで登場したのが、iPhone/iPad版のOfficeというわけです。
なお、マイクロソフトはAndroid版のOfficeもリリースしていますが、本連載では、iPad版Officeに絞って説明します。次回は、文書作成で使うWordと表計算ソフトのExcelの実用性について、詳しく見ていく予定です。