マイクロソフトは、次期Windowsとして「Windows 10」を発表しました。現在はまだ開発中で、発売は2015年中旬と予想されています。本連載では、公開されている開発中のバージョン(Technical Preview版)を使いながら、Windows 10が登場した背景や新機能について紹介します。第一回は、Windows 10が登場した背景とその特徴についてまとめます。なお、内容はあくまで評価版にもとづいていますので、製品版では変わる可能性があることを、ご了承ください。

Windows 8の反省に立って開発されているWindows 10、発売は2015年中旬を予定

  2014年9月、米マイクロソフトは次期Windowsの「Windows 10」を発表しました。現在は評価版を提供中で、正式な発売は2015年の中旬(夏~秋頃?)が予定されています。以下は、これまでに発売されたWindowsの発売時期です。

  • Windows XP 2001年10月
  • Windows Vista 2007年1月
  • Windows 7 2009年9月
  • Windows 8 2012年10月
  • Windows 8.1 2013年10月

現在の最新バージョンはWindows 8.1ですが、Windows 8/8.1は、端的に言って失敗でした。最も大きな理由は次の2つです。

  • 起動直後が「スタート画面」になった。
  • 「スタートボタン」と「スタートメニュー」が廃止された。

 従来のデスクトップに慣れたユーザーにとって、起動直後に表示される「スタート画面」は、使いづらいだけでした。また、「スタートボタン」と「スタートメニュー」も廃止され、中には終了方法すらわからないユーザーもいたくらいです。このため、特に多くの企業ユーザーは、一世代前のWindows 7を選択しました。
 マイクロソフトは、この点をとても反省しているようで、現在開発中のWindows 10では、以上の点が改善されています。具体的には、起動直後にデスクトップが表示され、「スタートボタン」と「スタートメニュー」も復活しています。
 詳細は、次回以降に説明しますが、少なくとも、今度のWindows 10では、Windows 8/8.1の失敗を繰り返さないというマイクロソフトの強い決意が感じられるのは確かです。

  • Windows 7。Windows 8/8.1を避けてWindows 7を選択する企業ユーザーは少なくないようです。ただし、サポートは東京オリンピックの開催される2020年の1月14日までです。

  • Windows 8.1は失敗したOSといってよいと思います。多くの企業ユーザーは選択していません。

  • 開発中のWindows 10(評価版)では、起動直後にデスクトップが表示され、スタートボタンとスタートメニューも復活しています。

Windows 7/8.1を利用しているユーザーはタダでWindows 10にアップグレードできる

 Windows 10について、ぜひ覚えておきたいのが、現在、Windows 7またはWindows 8.1を利用しているユーザーは、Windows 10の発売後1年間は無償でWindows 10にアップグレードできることです。
 さらに、Windows 10にアップグレードしたら、その後は、無償で新しいバージョンにアップグレードし続けることができます。つまり、もうWindowsにお金を払う必要はないということです。
 膨大な投資をして開発したWindowsを無償で提供することは、マイクロソフトにとって、とても大きな方針転換です。当然、「マイクロソフトはどうやって儲けるのか?」という疑問が生じると思いますが、それも次回以降で説明したいと思います。
 なお、企業で利用する場合、アプリケーションの互換性の観点等から、自動的にアップグレードされると困ることも多いので、従来の更新方法やサポートも継続されることになっています。

パソコン、タブレット、スマートフォンのすべてをカバー

 Windows 10のもう1つの重要ポイントが、さまざまな端末を1つでカバーするOSであることです。具体的には、Windows 10はパソコン、タブレット、スマートフォンのすべてで動作する予定です。
 これにより、ユーザーはどんな端末でも同じ使い方ができるようになります。特に企業で利用する場合、同じWindows 10が動くので、管理が楽になったり、セキュリティを容易に高めたりできるとされています。
 なお、日本では販売されていませんが、マイクロソフトは海外でWindows Phoneというスマートフォンを販売しています。このWindows PhoneにもWindows 10が採用されることになるわけです。
 この動きに先行するように、国内でもWindows Phoneを手がけるメーカーが登場しつつあります。現在は、iPhoneとAndroidの影に隠れて無名のWindows Phoneですが、Windows 10のリリースとともに、特に企業用のスマートフォンとして注目されるかもしれません。

マウスコンピューターがWindows Phoneスマホに参入する理由

以上、Windows 10が登場した背景とその特徴について簡単に説明しました。次回は、現在提供されている評価版を使って、Windows 10の新機能とユーザーにとってのメリットを紹介する予定です。