MVNOを利用すれば、毎月の料金をグッとおさえてスマートフォンを利用できます。ただし、賢く活用するためには、最低限知っておきたいことがあります。知らないまま契約してしまうと、最悪の場合、「つながらない」「通話できない」といった事態もありえますので、ぜひ、今回説明する内容を確認してください。
格安SIMとは? SIMフリーとは?
スマートフォンは、端末本体だけでは通話もインターネットも利用できません。SIMというICチップを装着して、はじめて音声通話やデータ通信が可能になります。
SIMの役割は、スマートフォン本体と通信回線を結びつけることです。また、SIMには電話番号や契約者情報が記録されていて、利用者を特定する役割もあります。もちろん、NTTドコモやau、ソフトバンクで契約したスマートフォンにも、必ずSIMが装着されています。
逆にいうと、SIMを入れ替えれば、端末はそのままで別の回線を利用することも可能です。多くのMVNOでは「格安SIM」という月額料金の安いSIMが販売されています。この格安SIMを購入し、いま使っているスマートフォンのSIMと入れ替えれば、スマートフォンはそのままで、別の回線を利用して、毎月の支払額をずっと安くできるわけです。
SIMの例。スマートフォン本体に装着して使用します。SIMがないと通話もインターネットも利用できません。写真は、OCN モバイル ONEが提供するNTTドコモ端末向けの格安SIMです。ただし、それには条件があります。スマートフォンが「SIMフリー」であることです。「SIMフリー」とは、SIMを自由に入れ替えられるという意味です。一方、特定の通信会社のSIMしか使えないことを「SIMロック」といいます。したがって、MVNOの格安SIMを利用するには、SIMフリーのスマートフォンが必要になります(注1)。
注1:NTTドコモ、au、ソフトパンクで契約したスマートフォンはSIMロックされています。ただし、一定の条件を満たせば、SIMロックを解除して、SIMフリーにできます。詳細は以下のページを参照してください。
NTTドコモのスマートフォンも使える?
ただし、ちょっと複雑なのですが、SIMフリーのスマートフォンでなくても、MVNOの格安SIMを使える場合があります。それは、NTTドコモのスマートフォンを使っている場合です。
じつは、MVNO事業者の多くは、NTTドコモから通信施設を借りています。このため、現在、NTTドコモのスマートフォンを使っていれば、そのスマートフォンがSIMフリーでなくても、格安SIMと入れ替えて、そのまま使える可能性が高いのです。
といっても、実際に使えるかどうかは試してみないとわかりません。そこで、多くのMVNO事業者は、自社の格安SIMを利用できるスマートフォンの機種一覧をホームページに掲載しています。ですから、MVNOの格安SIMを購入するときは、そのSIMを販売している企業のホームページで、必ず対応機種を確認するようにしてください。
「データ通信専用」か「データ通信+通話」か?
MVNOを利用するときもう1つ注意したいのは、格安SIMには次の2種類があることです。
- データ通信専用(通話不可)
- データ通信+通話専用(通話可)
データ通信専用のSIMはインターネットは利用できますが、通話はできません。通話ができないため格安な場合が多く、ネット専用の2台目のスマートフォンなどに向いています。
一方、データ通信に通話機能が付いているSIMの場合は、通常のスマートフォンと同様にインターネットも通話もできます。その分、価格も高めですが、それでもNTTドコモ、au、ソフトバンクに比べると格安です。また、MNP(携帯電話ナンバーポータビリティ)の手続きをすれば、現在の電話番号をそのまま引き継ぐこともできます。
値段が安くて、インターネットも通話も可能なMVNOですが、けっしてメリットばかりではありません。次回は、MVNOを利用するとき注意したいポイントを説明します。