低価格でインターネットや通話ができるMVNOですが、けっしてメリットばかりではありません。うまく活用するには注意すべきポイントもあります。購入したあとで「こんなはずではなかった」と後悔しないように、ぜひ目を通してください。
格安SIM+スマートフォン/タブレット/パソコン
前回までは、格安SIMとスマートフォンの組み合わせを説明してきましたが、じつは格安SIMを使えるのはスマートフォンだけではありません。SIMフリーであれば、iPadなどのタブレットでもパソコンでもかまいません。
たとえば、アップルはSIMフリー版のiPadをオンラインのアップルストアで販売しています。Webサイトで「Wi-Fi+Cellularモデル」と書かれているモデルがSIMフリー版です。また、VAIOの「VAIO S11」は、SIMフリーのパソコンで、格安SIMを装着すれば、いつでもインターネットを利用できます。
SIMカードだけとスマホ/タブレット込みの場合がある
MVNOは、格安SIMだけを販売しているとは限りません。格安SIMを装着したスマートフォンやタブレットを販売しているケースもあります。この場合は、そのスマートフォンやタブレットで格安SIMが利用できることは確認済みですから、安心して購入できます。
なお、端末については、一括で購入する方法、毎月の通信料といっしょに分割購入する方法、レンタルなど、いくつかのパターンがあります。たとえば、楽天モバイルの場合、一括で購入することも分割で購入することも可能です。
また、アマダアイリンクでも、毎月5GBまでデータ通信できるiPad Proを毎月8900円でレンタル提供しています。iPad Proは、2732×2048ピクセルの高解像度の画面を持ち、CAD図面の確認にも利用できる高性能なタブレットです。タッチペンでも操作できるので、屋外や工場での作業にも適しています。タブレットを検討している企業にとっては、有力な選択肢になると思います。
キャリアメールが使えない
MVNOを利用する際に、意外な盲点になるのがキャリアメールが使えないことです。キャリアメールとは、NTTドコモ、au、ソフトバンクで携帯電話を契約したとき発行される「xxx@docomo.ne.jp」「xxx@ezweb.ne.jp」「xxx@softbank.ne.jp」などのメールアドレスで利用するメールのことです。
したがって、これまでキャリアメールを活用していた方は、別の方法が必要になります。通常は、GmailやYahoo!メールなどのWebメールを利用するのがよいと思います。
なお、「もともとキャリアメールは使っていないので問題ないよ」という方も、注意は必要です。筆者もキャリアメールはほとんど使っていなかったのですが、以前、中学校のPTA活動に参加したとき、まわりの人がほとんどキャリアメールで情報やりとりしていて困ったことがあります。というのも、キャリアメールの中には、GmailやYahoo!メールなどのWebメールを自動的にシャットアウトするものがあり、Gmailを使っていた私だけ、情報が送れない/受け取れないということがあったのです。ご注意ください。
また、相手の電話番号を指定して短いメッセージを送れるSMS(ショートメールサービス)については、MVNOによって利用できる場合とできない場合があります。また、利用できる場合もオプション扱いになっていることがありますので、利用したい方は注意してください。
いろいろな制限があったり、初期費用が高くなるケースもある
MVNOを利用する際には、プランの制限にも注意する必要があります。たとえば、同じMVNOでも、一ヶ月に使用できる通信データ量によって金額は異なります。通信データ量が少なければ安くなりますが、使ったデータがそれを超えると速度が制限される場合がほとんどです。
また、端末と格安SIMを別々で購入する場合、端末を一括購入すると初期費用が高くなることもあります。たとえば、SIMフリー版のiPhone 6s(64GB)は約10万円です。通信費も含めたトータル金額は安くなりますが、思ったより初期費用がかさむこともありますので、注意してください。なお、端末代を安くするなら、中古端末を探すのも1つの方法だと思います(動作確認は必須です)。
次回の最終回では、主なMVNOサービスを紹介しますので、MVNO選びの参考にしてください。