いま、インターネットの世界が大きく変わろうとしています。あらゆるモノがインターネットにつながるIoTが、急速に進展しているからです。そして、この急速な変化に対応するため、インターネットを支えるネットワークインフラも、大きく変わろうとしています。第1回では、IoTをめぐる通信会社の動きについて、ご紹介します。
2020年、530億個のモノがインターネットにつながるIoT時代がやってくる
「IoT(Internet of Things)」という言葉が、テレビや新聞でもさかんに取り上げられるようになりました。世の中にあるさまざまなモノに通信機能を持たせ、インターネットに接続したり、相互に通信したりすることで、自動認識や自動制御に利用しようとするのが、IoTの基本的な考え方です。
たとえば、最近、私が面白いなぁと思ったのは、マンホールにセンサーを付けて、下水道の氾濫の兆候をとらえ、防災に役立てる取り組みです。確かに、日本中のマンホールにセンサーを設置すれば、ゲリラ豪雨の被害を防げるかもしれません。最近、話題の自動運転車も、クルマにさまざまなセンサーを付けて、インターネットで通信しながら、情報を分析してクルマを制御しています。
これを工場に応用したのが、本連載でも取り上げた「インダストリー4.0」です。工場の機械をインターネットにつなぎ、機械に取り付けた各種センサーから収集した情報を分析し、ムダを省いて生産性を上げたり、機械のメンテナンスに活用したりするわけです。したがって、今後は、工場に導入される機械にも、さまざまなセンサーとネットワーク機能が搭載されるようになるでしょう。
次のグラフは、総務省が公開している、インターネットにつながるモノの数の予測です。この予測によれば、2020年には530億個のモノ(端末)がインターネットにつながると予測されています。
ただし、IoTが進むと困ったことが起きます。それは、ネットワークがもたなくなるという問題です。
ネットワークを流れるデータも爆発的に増大、ADSLはそろそろ限界
さまざまなモノがインターネットにつながると、当然、インターネットを流れる情報は増大します。NTTドコモやKDDI、ソフトバンクなどの通信会社は、すでにその準備をはじめています。
たとえば、NTTドコモは、2020年に向けて、現在の4Gの次の5G(次世代移動通信システム)を開発しています。5Gの通信速度は10Gbps以上なので、現在の4Gの1000倍以上の速度です。また、戸建て住宅やマンション用の光回線では、すでに10Gbpsの「NURO 光」などのサービスが始まっています。以下は、開発中のものも含めた、主な通信規格の通信速度です。
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- ADSL……50Mbps(下り)、5Mbps(上り)
- フレッツ光ネクスト……1Gbps(下り/上り)
- NURO 光……10Gbps(下り)、2.5Gbps(上り)
- 3G……数Mbps~14Mbps
- 4G……75Mbps~100Mbps
- 5G(開発中)……10Gbps以上
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※いずれも最大値の目安
読者の中にも、オフィスや工場でこうした回線を利用している方は多いと思います。ここで注意したいのはADSLです。結論から書くと、ADSLではIoT時代に対応するのは難しいと思います。
全体の通信速度が遅いのも理由ですが、それ以上に問題なのが、上りの速度が極端に遅いことです。IoT時代になると、オフィスや工場内の機器からインターネット方向、つまり上りの方向にさまざまな情報が送られることになります。したがって、上りの速度が遅いADSLだと、情報を十分に送ることができず、IoTの恩恵を受けられない可能性があるのです。
ADSLの最大のメリットは価格が安いことですが、性能的にはそろそろ限界だと思います。もしも、いまADSLを利用しているなら、光回線への変更を検討してもよいのではないでしょうか。
<参考リンク>
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