ネットワークでは、一部でも遅い部分があると、そこが原因で全体の速度が低下してしまいます。こうした部分を「ボトルネック」と呼びますが、最終回では、社内ネットワークのボトルネックになりやすいネットワークケーブルについて説明し、改めて会社全体のネットワークを見直す意義を整理します。

古いネットワーク機器、特にネットワークケーブルは要チェック

 前回は、オフィスや工場の有線/無線ネットワークについて説明しました。パソコンやルータが対応している規格を確認すれば、その端末の通信速度がわかるので、ぜひチェックしてみてください。
 もう1つ、念のために確認したいのが、有線ネットワークで使うネットワークケーブル(LANケーブル)です。パソコンやルータ、ハブなどの機器が高速な規格に対応しているのに、ネットワークケーブルが対応していないと、ネットワーク全体のスピードが落ちてしまうからです。最近のネットワークケーブルを利用しているなら、まず問題はありませんが、長年、古いケーブルを使い続け、一度も取り替えたことがない場合は要注意です。
 現在、ネットワークケーブルには、次のような種類があります。

  • CAT5……現在はほとんど販売されていません。10BASE-Tと100BASE-Tに対応し、最大通信速度は100Mbpsです。
  • CAT5e……10BASE-Tと100BASE-Tに加えて、1000BASE-Tに対応しています。最大通信速度は1Gbpsです。一般家庭や小規模な企業・店舗向けです。
  • CAT6……10BASE-T、100BASE-T、1000BASE-T、1000BASE-TXに対応し、最大通信速度は1Gbpsです。大企業やパソコン・サーバが多い企業や店舗向けです。
  • CAT7……高速な10G-BASE-Tに対応しています。最大通信速度は10Gbpsです。

 現在、一般家庭や小規模な事業所における有線ネットワークの一般的な通信速度は1Gbpsです。このため、CAT5のケーブルを使っていると、100Mbpsまでしかスピードが出ません。もしもCAT5のケーブルを使っているなら、早急にCAT5e以上のケーブルに変更することをおすすめします。

  

写真はCAT5eのケーブルです。【図1】ネットワークケーブルの種類は、ケーブルに記載されている場合もあります。もしも、CAT5のケーブルを使っているなら、早急に変更することをおすすめします。写真はCAT5eのケーブルです。

今こそ会社のネットワーク全体を見直して、IoT時代に備えよう

IoTの時代になると、いまとは比較にならない端末がインターネットにつながります。次は、総務省が公開している、インターネットに接続される機器の分野別の予測です。

ネットワーク接続機器数の分野別予測【図2】ネットワーク接続機器数の分野別予測

 これを見ると、一般消費者向け製品の分野以上に、自動車分野や産業分野で、接続端末が急増することがわかります。わずか6年間で、これだけ端末が増えるのですから、現在のネットワークで対応できなくなるのは当然といえるでしょう。
 第1回で説明したように、この変化に対応するため、NTTドコモやKDDI、ソフトバンクなどの通信会社は、いま、急ピッチでネットワーク環境の高速化をすすめています。それは、通信各社の生き残りをかけた戦いです。
 事情は、ネットワークを利用する企業も同じです。この変化に対応するために、オフィスや工場内のネットワーク環境が、現状のままでいいはずがありません。今こそ、2020年に向けて、ネットワーク環境を見直す好機ではないでしょうか。
 ただし、ネットワークの構築・運営には、ITの専門知識が必要なのも事実です。社内に詳しい人がいない場合は、専門の業者に相談するのもよいと思います。
 ちなみに、アマダアイリンクサービスでも、社内ネットワークを再構築・運営するサービスを提供しています。長年にわたって、金属加工の中小企業を支援してきた同社だけに、業界特有の事情も熟知していますので、相談相手としては最適だと思います。ぜひ、お気軽に、ご相談いただければと思います。

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