今回は、Windows XPとOffice 2003のサポートが終了すると、なぜパソコンが危険になるかを説明します。また、ユーザーの中には、「サポートが終わっても、ウイルス対策ソフトを入れておけば大丈夫なのではないか」と考える方も多いと思いますので、その真偽についても説明します。

サポートが終了するとなぜ危険なのか?

ソフトウェアは人間が書くプログラムですので、完全なものはありません。特に大きくて複雑なプログラムになればなるほど、特殊な条件が重なったり、想定外の使い方をされたとき、本来の動きとは異なる動きをしてしまうことがあります。こうした不具合(問題点)が見つかると、ソフトウェアメーカーは「パッチ」と呼ばれるプログラムを提供して修正します。  Windows XPとOffice 2003も同じです。発売以来、不具合が見つかるたびに、マイクロソフトは「パッチ」を提供して、問題を修正してきました。
その理由は、不具合の悪用を防ぐためです。情報を盗んだり、他人のコンピュータを乗っ取ろうとする人間のほとんどは、ソフトウェアの不具合を悪用して、コンピュータにウイルスを侵入させるからです。
そして、2014年4月9日以降、マイクロソフトはWindows XPとOffice 2003のパッチを提供しなくなります。パッチもブログラムですので、開発するには時間もお金もかかります。マイクロソフトがいう「サポート終了」とは、このパッチの開発をもうやめますよ、という意味なのです。
つまり、2014年4月9日以降、Windows XPとOffice 2003に不具合が見つかっても、放置されたままになります。このため、Windows XPとOffice 2003の安全性は、2014年4月9日以降、徐々に低下していくのです(大きな不具合が見つかったら一気に低下します)。

セキュリティ対策ソフトを入れておけば大丈夫?

とはいっても、中には「ウイルス対策ソフトを入れておけば大丈夫なのでは?」と考えるユーザーがいると思います。この考えは、半分正解で半分間違いです。
まず、ウイルス対策ソフトのメーカーによっては、2014年4月9日以降も製品のサポートを表明しています。たとえば、「ウイルスバスター」を開発・販売しているトレンドマイクロは、Windows XPのサポート終了後も、製品サポートと定義ファイルの更新を約束しています。

その他のウイルス対策ソフトについては、次の記事がよくまとまっていますので、参考にしてください。

ウイルス対策ソフトによっては、Windows XPとOffice 2003のサポート終了後も、製品サポートを継続する製品があります。画面はシマンテックのノートン360。

セキュリティ対策ソフトによっては、Windows XPとOffice 2003のサポート終了後も、製品サポートを継続する製品があります。画面はシマンテックのノートン360。セキュリティ対策ソフトによっては、Windows XPとOffice 2003のサポート終了後も、製品サポートを継続する製品があります。画面はシマンテックのノートン360。

ただし、不具合が見つかっても修正されることはないので、その不具合を悪用した攻撃にさらされる危険が高まります。その中にウイルス対策ソフトでは防げない未知のウイルスが含まれていたらアウトです。
したがって、ウイルス対策ソフトを入れているからといって、けっして安全とはいえません。「超危険」な状態が「危険」な状態になる程度と考えておいた方がよいと思います。